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ガラスのある生活レポート

ガラスのある生活レポートでは、ガレ、ドーム兄弟などのガラスアートを紹介しています。

ガラスの技法について

1.カメオ技法

ガラス器の素地を2層から5層の色ガラスで作っておいて、その各層までガラス表面を削りこんで下地の色を出しながら、レリーフ文様を刻み出す技法です。削り方はグラヴィール・エッチング・サンドブラストの3通りがあります。

 

2.宙吹き

窯の中でドロドロ溶けたガラスを、吹竿と呼ぶパイプに捲きとり、空中で吹竿をまわしながら成形する方法です。一切の型を使わず、ハサミやてこ板などで形を整えます。ガラスの吹きかげんが難しく思い通りに吹き上げるには熟練を要します。ガレの作品の多くは、この成形法により作られています。

 

3.型吹き

制作するガラスの器の型を、木、粘度、金属でつくり、その中に溶けたガラス種を吹竿で吹き込んで成形する方法です。宙吹きではできない特殊な器形つくるのに適しており、多様な形、型文様のガラス器を製作することができます。

 

4.アンテルカレール

エッチングなどの装飾されたガラスを再加熱し、その上に透明ガラスを被せることによりガラスの透明感を利用し、より遠近感を表現する技法です。

 

5.ヴェトリフィカシオン

熱いガラスの素地に色ガラスの粉をまぶして付着させ、再び炉の中に入れて素地をよくなじませる技法です。多数の色が混じり合った地紋を比較的容易につくり出せるメリットがあり、ドームが多様しました。

 

6.グラヴュール

ガラスの表面を研削して、文様や文字を彫刻する技法です。直径が10センチから0.5センチほどの銅などの金属円板を回転させて、ガラスを凹刻します。アール・ヌーヴォーのガラス器では、草花文様等をレリーフ状に彫り出すために使われています。

 

7.アップリカシオン

ガラスがまだ赤く熱いうちに熔けたガラスを部分的に熔着(貼付)する技法です。アール・ヌーヴォー期の作品では、この熔着部分を冷やした後、花、昆虫、かたつむりなどの形に彫刻している場合が多く、特にガレの「フランスのバラ」と呼ぶバラの花のアップリカシオンは有名です。

 

8.マルケットリー(ガラス寄せ木細工)

あらかじめ色ガラスの薄片で模様に作りたい形を作っておき、まだガラスの素地表面が溶けているうちに所定の場所に熔着する技法です。付けたい場所に自由に色ガラス層をつけることができるため、多色の文様を表現できますが、技法的にはかなり難しく制作途中での破損も多い技法です。ガレはこれを家具の寄木細工からヒントを得て創りだし、特許を取得しました。

 

9.被せガラス

異なった色ガラス二層、三層あるいは多層に被せ重ね作ったガラスをいいます。被せた後、手彫りまたはエッチングやグラヴュールを施すと、素地の色と被せた色が微妙に浮き上がります。

 

10.サンド・ブラスト

金剛砂を圧縮空気でガラスに吹き付けて削ります。削らない部分はゴムなどの弾力のあるもので覆っておきます。輪郭は鋭角的でシャープになります。アール・デコ時代に多様された技法です。

 

11.エッチング

弗化水素と硫酸の混合液を使い、ガラスを腐食させて彫り出す技法です。ガラスの表面をレキ青やパラフィンなどの保護膜でおおった後、文様部分の被膜をのこして酸にひたすと腐食され文様ができます。これがアシッドでカメオ彫りとよばれる技法です。

 

12.パート・ド・ヴェール

ガラスの練り粉というような意味をもちます。粉々に砕いたガラスを耐火石膏でつくった型につめ、そのまま窯の中で焼きあげ、除冷後、型からはずじ磨きをかけて仕上げる成形法です。パート・ド・ヴェールは、ガラスの色を自由に調合し、細かい部分にも自在に色をつけることができるため、極めて表現豊かな作品を作ることができます。古くはエジプト、メソポタミア地方で使われていましがその後断絶し、19世紀の終わりにフランスの彫刻家アンリ・クロが再現しました。

 

13.ペルル・メタリック

ガラスとガラスの間に金属の細片などの不溶解物質をサンドイッチにして、メタリックな発色の地紋を作る技法です。日本の蒔絵の梨地から発想を得たとも言われています。

 

14.イリデセンス(虹彩)

鉄、銅、マンガン銀、金などを硫酸や王水に溶解したものを、さらに蒼鉛ラスターなどを混合して、熱いガラス素地に霧噴状に吹付けて、酸を蒸発させてガラス表面に金属の薄い被膜を焼き付ける技法です。玉虫色の虹彩を発します。

 

15.エナメル彩(エマイユ彩)

エナメルをガラス表面になじませるためにガラス表面に彩色、加熱する装飾技法です。

 

16.ビュラージュ

泡ガラスともいいます。透明なガラス素地の上にガスを発する化合物を付着させ、その上から透明なガラスを被せかけて、泡をガラスの中に封じ込める方法です。

 

17.アイス・クラック

熱い吹きたてのガラスを温水の中に入れてすぐに取り出すと、ガラスの表面だけに氷がひび割れたような氷裂が入ります。これをやや焼きもどして氷裂を文様として残す技法です。

 

18.スフレ

型吹きの一種で、型の中に文様などのレリーフを凹刻しておいて、その中にガラスを吹き込んで文様をつけ、より立体間を得る技法です。

 

 

 

 

 
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